消防の教科書~知らないと危険!屋内進入時に確認すること~
消防の教科書~知らないと危険!屋内進入時に確認すること~
前回の記事はこちら↓↓
こんにちは、建二です。
今回は、消防の消火活動の中でも特に危険な屋内進入についてです。
屋内進入は数多くの危険要素がありますが、消火活動を行う上でかなり効果的な活動でもあります。
・屋内にいる要救助者を救出することができる
・火点を直接攻撃し、被害の拡大を防ぐことができる(水損や延焼)
など、正しい知識を持って有効に活用する事が出来ればより効率的な消火活動をする事ができます。
しかし、消火活動の中でも最も受傷する可能性が高い活動であるのも事実です。
なのでその受傷リスクを最小限にするために必要な確認事項を紹介していきたいと思います。
注水体制(援護線)が取れているか
1つ目は「注水体制(援護線)が取れているか」です。
屋内進入のリスクのうちの1つが進入している隊員が火煙に巻かれて身動きが取れないor受傷してしまうことです。
火災室にもなると室内はかなりの高温である確率が極めて高いため、冷却をする必要があります。
また、室内が濃煙で視界が悪いと活動にも支障が出てくるため排煙の必要もあります。
そのため、進入隊員の保護、補助をするための注水体制(援護線)が取れている事が確認できてから進入をするようにしましょう。
ドアノブ、ドア表面の温度を確認する
屋内進入をするにあたって屋内の温度を把握する必要があります。
屋内進入をする前にある程度の温度を把握するためにドアノブやドア表面を利用しましょう。
必要であれば手袋を外しましょう。
この時重要なのが必ずドアの下部から確認すること。
高温の空気は部屋の上部から充満していくためドアの上部から確認してしまうと火傷をしてしまう確率が高いです。
順番としては
ドアの下部→ドアの中部→ドアの上部→ドアノブ
(ドアノブは金属製である事が多いので高温になりやすいため火傷に注意しましょう)
の順で確認するのが安全です。
なお、確認の際は手の平ではなく手の甲を使用するようにしましょう。
高温であった場合手の平で確認をすると反射的に手の筋肉が収縮してドアノブ等を握ってしまい、手の平全体を負傷(火傷)してしまう恐れがあります。
また、手の平を負傷(火傷)してしまうとその後活動の活動に支障が出ます。
これだけに限ったことではありませんが受傷する可能性がある活動をする場合はそのリスクも考えて実行するようにしましょう。
開口部設定の前に全隊に周知をする
開口部の設定は消火活動をする上で非常に重大なことです。
屋内進入をはじめ、消火活動の戦術は開口部を中心に練られていく事が多いです。
必ず全体に周知をして指揮統制をされた上で開口部の設定をしましょう。
ドアの開放は正面を避け、チラ見で屋内を確認する
ドアの開放時はドアを盾にするなどをして開放した際に体が開口部に対して正面に来ないようにしましょう。
もしかしたら開放した瞬間に火煙が噴出してくるかもしれません。
開放が出来たら内部状況を確認します。
バックドラフトなどで火煙の噴出があるかもしれないのでなるべく短い時間でチラッと確認しましょう。
この時見るポイントとしては、 火煙の状態 ドアチェーンの有無 中性帯の有無 そして 熱気を感じるか また、もしかしたら要救助者が見えるかもしれないのでそこにも注視しておきましょう。
中性帯は不用意に壊すな!注水前に活用する
先ほども出てきましたが 中性帯 とは熱で上昇した煙と新鮮な空気の境目のことを言います。
(参考画像)
中性帯がある時は室内の下部は視界が比較的明瞭で温度も高温でない事が多いので中性帯がある時は有効に活用して屋内検索活動をしましょう。
しかし、この中性帯は注水(特に噴霧注水)等をして空気の流れを作ってしまうと簡単に崩れて煙や高温の空気が室内の下部に降りてきてしまいます。
不用意に放水はせず屋内の状態を確認してから放水しましょう。
進入した隊員の把握をする
進入した隊員の人数、空気ボンベの圧力の残量、活動時間等を必ず把握しておきましょう。
外部から建物の異常や危険な様子を発見した場合は緊急脱出の合図を送る必要があります。
屋内進入隊員と外部で連携を取るための連絡手段を必ず確保しておきましょう(無線、信号機付き投光器、確保ロープなど..)。
間違っても退避の際に脱出できていない隊員に気づかないなんて事がないように..
進入時には統制された放水をする
開口部が複数ある場合、注水されている開口部は給気、それ以外の開口部は排気がされます。
進入時に室内が高温で煙に包まれていた場合進入隊員もしくは後方の援護注水隊員が放水をする確率が高いです。
そうすると他の開口部から高温の空気や煙、場合によっては火炎も吹き出す場合があります。
その時にその開口部に向けて放水をしてしまうと排煙、排気がうまく行われずに煙や高温の空気、放水によって蒸発した高温の蒸気が室内に充満するなど、進入隊員の身に危険を及ぼす可能性があります。
そのため屋内進入時は全隊に周知をして統制された放水をする必要があります。
まとめ
今回は屋内進入時に確認すべき事項として何点か紹介させていただきました。
上記の条件を満たすことは絶対ではありますが、条件を満たしていた場合でも基本的に火災の状況に対して 消防力が劣勢である場合は屋内進入はしない ということを覚えておいてください。
最盛期の火災であったり中期でも1隊しか現場到着していないとなると、進入隊員に何かがあった時に外部からどうすることもできなくなってしまいます。
全隊で細心の注意の安全管理をして屋内進入を安全、効果的に活用できるようにしましょう。