若手消防士の備忘録

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消防職員なら知ってて当たり前!救助隊について

 

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みなさんこんにちは、訓練時のみオレンジを着ている健二です。

 

私は普段はポンプ隊なので紺色の活動服を着ていますがやはり「消防の華」ともいわれるオレンジ部隊の救助隊には少なからずあこがれはあるものです。

 

 

火災救助や水難事故、交通事故などの一般的な救助活動だけでなく、大規模地震や豪雨災害、土石流災害等の自然災害。航空機事故又は列車事故などの特殊かつ大規模な災害が増加している現在の日本にとって多種多様な救助技術を持った救助隊の需要は増加しています。

 

そんな救助隊にはどんな種類があるのか、どんな資機材が必要なのか、また救助隊員の教育について今回は書いていきたいと思います。

 

 

 

 目次

 

 

1.救助隊とは

 

 

 

消防が行う救助業務の発端は消防組織法1条から読み解くと、本来は火災現場における人命救助活動(火災救助)に原点があるというのがわかると思います。

 

また消防法第36条の2に「救助隊の配置」とういう条文で救助隊を配置させることが定められています。

 

第36条の2 市町村は、人口その他の条件を考慮して総務省令で定める基準に従い、この法律の規定による人命の救助を行うため必要な特別の救助器具を装備した消防隊を配置するものとする。

 

救助隊は人口等の自治体の規模によって配置される隊の種類が4つあり

「救助隊」 「特別救助隊」 「高度救助隊」 「特別高度救助隊」

と分類されています。

 

それでは各救助隊についてお話していきたいと思います。

 

 

 

・救助隊

 

救助隊とは、救助業務に関する糖度な知識・技術を持った隊員と、救助業務に必要な装備と機動性を備えた消防隊の一隊です。

 

 

・救助隊の人数

 

消防常備市町村が配置する救助隊は、人命の救助に関する専門的な教育を受けた隊員5名以上で編成するように努めるものとすると定められています。

 

つまり、専門的な教育(消防学校の救助科)を受けた隊員5名以上で編成するのが望ましいがその限りではないということです。

もっとわかりやすく言うと消防吏員であればだれでも救助隊員になれる資格があるということです。

(※消防本部によって救助隊員になるための研修や試験が定められているところもあります)

 

 

・救助隊の配置数

 

救助隊の配置の基準数は当該市町村消防署の数とされています。

例えば消防署が3署、分署や出張所が5署あれば救助隊の配置の目安は3隊ということになります。

 

しかし、災害の発生状況や地域の特性によって救助隊の配置基準数は増減できるものとされています。

 

 

 

ちなみに「特別救助隊」などでない「救助隊」であれば救助工作車ではなく消防ポンプ車等でも活動することが認められています。

 

 

 

・特別救助隊

 

人口10万人以上又は10万人以下でも建物、道路、鉄道、空港、危険作業事業場等の人命救助が必要な消防常備市町村では最低1隊以上の「特別救助隊」を配置するものとされています。

 

また特別救助隊は(専門的な教育を受けた)隊員5名以上と(高度な救助器具とそれを積載することのできる)救助工作車を備えた救助隊とされています。

 

「救助隊」はポンプ車でも活動可能ですが「特別救助隊」だ救助工作車でないといけないんですね。

 

 

・特別救助隊の配置数

 

人口10万人~100万人であれば1~7隊

人口100万人~300万人であれば4~11隊

人口300万人以上であれば8隊以上

とされていますがこの人口のさかえめの隊数の差について述べられている条文等は見つかりませんでした。

 

 

 

・高度救助隊、特別高度救助隊

 

新潟中越地震、JR東日本福知山線列車事故を契機として、複雑多様化する救助事案に対応するため、平成18年3月に救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令の一部が改正され、より高度な救助資機材、特殊車両及び高度な救助技術・知識等を兼ね備えた救助隊員で構成される「高度救助隊」及び「特別高度救助隊」が創設されました。

 

 

・高度救助隊の設置基準

 

東京消防庁、指定都市、中核市及び消防庁長官が指定する消防常備市町村(広域連合、組合消防を含む)は最低1隊以上の特別救助隊より高度な救助器具を備えた「高度救助隊」とすることとされています。

 

 

・特別高度救助隊の設置基準

 

東京消防庁及び指定都市は、最低1隊以上の高度救助隊を、より高度な救助器具に加えて特殊災害対応自動車の1台を備え、地域の実情に応じてウォーターカッター及び大型ブロアーを備えた「特別高度救助隊」とすることとされています。

 

 

 

簡単に救助隊について説明してきましたがここで少しまとめてみましょう。

 

各救助隊の人数は…

原則 5名以上

 

救助隊は…

原則 消防署1署につき1隊

消防車or救助工作車で運用

 

特別救助隊は…

基本人口10万人以上で配置

救助工作車+高度な救助器具で運用

 

高度救助隊は…

規模大きな消防本部で配置

救助工作車+特別救助隊より高度な救助器具で運用

 

特別高度救助隊は…

東京消防庁、指定都市で配置

救助工作車+特殊災害対応車両1台以上+高度救助隊より高度な救助器具で運用

+α(ウォーターカッター、大型ブロアー車)

 

 

といったところでしょう。

お気づきかもしれませんが規模を除くと、保有している車両と資機材が違うだけなんですね(笑)

 

次はその救助隊の装備(資機材)についてお話していきます。

 

 

 

2.救助隊の装備

 

 

前項では救助隊の種類にについて説明しましたが、その救助隊の種類によってどのような装備(資機材)が必要になってくるのか代表的なものを書いていきたいと思います。

 

 

・救助隊装備品

 

三連はしご

エンジンカッター

能斧

ロープ

カラビナ

空気呼吸器

予備ボンベ5本

投光器一式

油圧切断機

安全帯

応急処置用セット

 

などが救助隊の装備品にあたります。(※こちらはごく一部です。)

逆にいうとこの装備がなければ救助隊は運用できないということです。

ですが、地域の特性に応じてその他の資機材を設置することが可能になっています。

 

 

・特別救助隊装備品

 

上記の救助隊の装備品に加えて

 

マット型空気ジャッキ一式

空気鋸(エアーソー)

大型油圧切断機

酸素呼吸器

 

などが追加されます。

 

 

・高度救助隊装備品

 

上記の装備に加えて

 

画像探査機

地中音響探知機

熱画像直視装置

地震警報器

 

などの資機材が追加されます。

こちらの救助資機材は主に地震等で瓦礫等の下敷きになった要救助者を救出するための資機材になっています。

しっかりと高度救助隊の設置理由とかみ合っていますね。

 

 

・特別高度救助隊装備品

 

上記の装備に加えて

 

電磁波探査装置

二酸化炭素探査装置

水中探査装置

検知型遠隔探査装置

 

が追加されます。

正直私は見たことも触ったこともないです(笑)

 

 

簡単ではありますが救助隊の種類は保有している資機材、つまり対応できる災害を示しているのです。

 

 

 

 

 

3.救助隊員への専門的な教育(救助科)について

 

ここまで救助隊について書いていきましたが、ここからは救助隊の教育についてです。

今回は「人命の救助に関する専門的な教育」とされる消防学校の救助科の訓練基準について書いていきたいと思います。

 

救助科の教科目、教育時間については以下のようになっています。

 

教育時間 140時間

 

教科目(内訳)

 

職責と心構えについて 1時間

安全管理 21時間

災害救助対策 21時間

救急 7時間

救助器具取扱訓練 21時間

救助訓練 30時間

想定訓練 30時間

体育 3時間

効果測定 5時間

その他行事等 1時間

 

となっています。

 

到達目標として

  1. 厳しい条件の下において救助活動を遂行し得る旺盛な士気及び強健な身体を有していること。
  2. 救助活動に係る最新の専門的知識を豊富に有しており、専門的で高度な技能及び技術を備え、これらを活用した応用力を十分に発揮できること。
  3. 救助活動及び救助訓練において自らの安全を確保できるとと。

とあります。

 

上記の救助科に加えてより高度な教育機関の消防大学校での教育もあります。

 

 

 

 

まとめ

 

 

現在の日本で多発する自然災害や文明の発達による都市型の災害など、災害の形態は多種多様化しています。

そんな現在の日本において救助の需要は高まる一方で消防のほかにも警察や自衛隊が救助業務を行っていますが、一番早くに救助現場に到着できるのは各自治体を管轄としている消防に間違いありません。

 

そんな日本の国民の救える命を救うためにも日本の消防の救助技術の向上は不可欠です。

志高く高度な技能・技術を持った救助隊員が増えるように各自治体、各個人に頑張っていただきたいと思っています。